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工房案内

職人たちの染色の現場を見学できます

工房案内図

「染の里二葉苑」は実際に職人たちが染色している現場を見学することができます。江戸時代に職人たちが生み出し、工夫を重ねてきた江戸染色の技術を駆使して、現代の匠たちが数々の作品を世に送り出しています。

 進化する染色テクノロジーの中で、職人の技にこだわる

今は機械が主流

私たちが毎日着ている洋服やその他の繊維製品などには数々のプリント柄が染められています。布の染色技術は、この数十年間、ファッションの移り変わりと共 に大きく進化してきました。大量生産できるように機械化が進み、華やかで、精密な、さまざまな色柄が表現できるようになりました。
着物でも、今の先端技術では、コンピュータに絵柄を取り込み、インクジェットプリンタで染色するという技術も開発されています。
機械を使って、人の手をかけない方法でミスのない染色をしていくことは、人件費などもかからず、企業としては合理的なのかもしれません。

人の手の技術

江戸の職人たちは自らの発想で図柄やデザインを工夫し、自分の手で染めていました。江戸文化の継承とは、それら江戸の職人たちの仕事と心、すべてを受け継いでいくということです。
「染の里二葉苑」をはじめとする新宿・落合の染色工房は、江戸時代の技術を頑固なまでに守り続けています。マニュアルもなく、職人たちによってのみ伝承さ れてきた染色技術を次の世代へとつないでいます。職人たちは一人ひとりの斬新な発想と工夫によって、技術をさらに進化させていくのです。

花鳥風月から建築物や人物 さまざまな題材を描く『図案』や『型彫り』

染色の仕上がりを決める

花鳥風月から~のイメージ

二葉苑の工房で図案と型彫りを担当する池崎浅茂さんは、日本画を学び、能装束で伝統的な衣装デザインを学びました。「伝統的なものばかりではありません。 実際にスケッチに出かけてそれを図案化することもあります」と言います。そうした資料作りをベースにして、流行などを取り入れて図案を起こしていきます。
図案が決まり、彩色されたものは日本画と同じです。繊細な筆使いから温かみのある線に、仕上がりに合わせた色が載せられていきます。これが染色の下図となります。

 図案から型を起こす

下図が出来上がったら、今度は型を彫ります。池崎さんは筆を小刀に持ち替えて、型を彫ります。更紗は少ないもので20〜30枚、複雑なもので300枚にも 及びます。一つの図に対して数枚の型が必要になります。この型を失敗してしまうと、良い仕上がりになりません。慎重さと集中力が必要な仕事です。

寸分の狂いも許されない「板場」は江戸染色の「頂点の技術」

桜や樅の一枚板

寸分の狂いも~のイメージ

江戸小紋や江戸更紗など、型を使って表現する江戸染色にとって、最も重要で最も基礎的な作業を支えるのが板場です。板場とはその名の通り、「長い一枚板」を使って作業する場所のことです。染色工房の特徴と言ってもよいでしょう。
板は「捺染板」と呼ばれ、14メートルほどの長さがあります。桜や樅の木で、継ぎ目のない一枚板です。
この板に白生地(染色する前の白い絹の反物)を貼ることから型染めは始まります。このとき、板に凹凸があるとうまく染色ができません。まずは板と白生地の 間に空気が入ったり、異物で盛り上がったりしないように、白生地を糊で張り付けます。これがなかなか修練のいるものです。
白生地が固定できたら、生地の一端から型を置いて、図柄通りに糊を塗布していきます。型紙の両端には◇型の穴が空いており、そこを目印にして型紙を送っていきます。図案や配色によって型紙の枚数が増えていきます。

 十数年の修行が必要

「図柄に従って薄い生地の上に糊の層を作っていきます。糊の乗り具合が難しい。厚すぎると生地が糊によって焼けてしまいます。薄いと白くならなければなら ないところに色が染み込んでしまいます。適度な厚さで均等にしていくことが大切です」と言うのは、二葉苑の富所正夫さんです。この道50年のベテラン職人 です。この作業は江戸小紋や江戸更紗の頂点とも言える技術です。この板場の技術を習得するには数年、そして「十余年を経て一人前の職人になれる」と言われ ています。

3000色を駆使した彩色技術、手挿しで色を染める「引場」

反物の『天の川』

3000色を駆使した~のイメージ

部屋の端から端まで、皺が寄らないようにピンと張られた反物が吊られています。その反物は図柄を表現する糸目(図の輪郭などの細い線)が染められています。引場には白生地が着物地へと生まれ変わっていく風景があります。
引場とは、図柄に色を挿していく工房です。糸目の中に色を入れたり、ぼかしなど着物独特の技術を施したり。着物のデザインを最終的に華やかな図柄に仕上げていきます。
引場は板場とは違い、生地を宙に浮かせた状態で彩色していきます。生地幅を細い竹の棒で引っ張り、生地全体を部屋いっぱいに広げ、職人たちは椅子に座り、 移動しながら作業します。図柄に合わせて刷毛や細い筆を操りながら、反物の端から端まで色ごとに色を付けていきます。繊細で根気のいる作業です。
「糸目をはみ出したり、雑な作業をしたりすると、反物が台無しになってしまいます。染めの作業もまた一からになります。」と、引場の責任者である大野勝さ んは言います。染色職人になって45年になる大野さんでも「何年たっても緊張して刷毛を握っている」と言いますから、これも職人の匠の技です。

 3000色を操る

引場で重要な作業は生地に彩色することばかりではありません。何よりもどのような染料を作るかがポイントになります。
「常時用意しているのは200色くらいですが、秘伝のレシピは3000色ほどあります。」と、大野さんは話してくれました。
実は、染色に使われる染料は、染料メーカーの製品をそのまま使うものばかりではありません。染料メーカーのものをそのまま使用できればそれほど楽なことは ないが、それでは特色が出ません。こだわりの色を出すために、約200色の原染料からいくつかを選び、職人が調合して独自の色を作り出します。
「代々受け継いだ色のレシピというものがあるのですよ。今までのレシピは2000〜3000色もあります」(大野さん)と言います。「常に新しい色を作っ ていく」というから驚きます。だからこそ、誂え(色や柄などの完全オーダー)にも対応できるのです。いつも新しい着物の世界を私たちに見せてくれるので す。

職人たちの魂が宿る「型」や「道具」

数十年の時を超える型や刷毛

職人たちの魂が宿る~のイメージ

染色を支えているのは職人たちの『腕』。その職人たちを支えているのは創業時から受け継がれてきた「型」や「刷毛」、「染料」といった道具たちでしょう。
「正確に数えたことはありませんが、2000枚はあると思います。」
と、4代目の小林元文社長が言うように、二葉苑には2000枚を超える型が残っています。二葉苑では、これまでにない新しい柄にもチャレンジしています。 そのときには、自社で型を彫ります。型を独自に起こす工房はほとんどありません。それだけに独自の絵柄やデザインの開発に力を注いでいます。
一方、刷毛も代々の職人たちの汗が染み込んでいます。壁に掛けられた数十種類の刷毛、ペン立てに収められた100本を超える筆は、彩色する色や柄によって使い分けられます。どの刷毛を使うかも職人によって違います。

 

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